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 頭の中で思い描いたシーンを、いざ書く(またはキーボードを打つ)時、

「神様~、どうか私に書かせてください!」

と、かなり大げさにお願いをする、変な癖があります。

 普段は全くと言っていいほど、そういうことに無関心な人のくせに、

なんとも自分勝手で都合のいい私です。


 ただそれは、頭の片隅のどこかに

「書いている私」ではなく

「書かせてもらっている私」という

意識が働いているせいかもしれません。


 以前に「私はアリス」の中で少し触れましたが、

子供時代、病弱な時期があったことも

私が本の世界にのめりこんでいった一つの要因だと思います。


 ハックルベリーの自由に憧れ

幸福の王子のつばめに涙し

小公女に励まされ

秘密の花園に胸がときめき


毎日毎日、それこそ恥ずかしい話、トイレの中にも持ち込むほど、

時間を惜しんで読みふけっていました。

 もとはといえば、私以上の読書好きであった母親が薦めたことでしたので

おもちゃを買ってくれることはなくても、全集であろうと、少々高価であろうとも、

惜しまずお金を出してくれました。

自分の部屋に納まりきらなくなり、あげく、本の部屋が一つ別にできてしまったほどです。


 私は、一体何を求めて、それほどまで読書に没頭していたのでしょうか。

それは多分、「幸せ」を探していたんじゃないか。

純粋な気持ちで、勇気や青春や、戒めや道徳を吸収しながら

本の世界の中では、元気に飛び回る自分がいて幸せな気持ちになれました。

実は病弱だったのは一時のことで、今は十分元気すぎる大人ですが(笑


 周りの女の子が、「ケーキ屋さんになりたい」「お花屋さんになりたい」

などの夢を作文で書いていた中で、「小説家になりたい」と、今では

赤面ものですが、堂々と宣言したものでした。


私にとって、小説家とは「人を幸せにできるお仕事」だったからです。


夢は夢だとため息まじりに苦笑しながらも

書いて、そしてありがたいことに、読もうとしてくださる方がいる。

そして、またそこから私の書く原動力が沸き起こるのです。


あっそうでした。

「神様~書かせてください」ではなく

「読者様~書かせてください」じゃないですか。

たった今、気がつきました(笑


あの頃の純粋の延長線上に私が立っているとはいえません。

ですが、もちろん今も山積みの書籍に囲まれながら

小さな幸せを満喫しています。

そして、やはり今も、作家は人を幸せにする仕事だと思うのです。


今夜はつらつらと独り言につき合わせてしまいました。  ごめりんこ。

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